19-12.管理職、監督職のあり方
リーダー・リーダーシップとは
これまでに何人かの経営者の方々と、組織にはどのような管理職や監督職が必要なのかを話す機会がありました。
1.管理者
組織の理念、ビジョンや戦略を理解し、その達成のために所管する組織をどのようにして誘導してくのかを考え、全人格的に目標達成のために行動する人。話の内容は、
2.監督者
顧客のために、そして自分のために組織が決めた方向に進むことを、自分達を鍛える機会として捉え、管理者とともに任されたチームの成長のために日々活動する人。
両者は、人生は一度だけなので、何かを達成することの積み重ねで最期が決まることを知っており、悔いのないよう挑戦できるか、手を抜かず懸命にやれるか、結局はすべて自分に帰ってくること、とりわけリーダーとして仕事をしている限り手を抜けば後悔が残ること、最期までやり尽くせば達成感を得られることを知っている。
また、自らの生きる態度や仕事への取組み姿勢を変えていかなければ物事を成し遂げられない時代に対応しなければばらないと理解している人、との結論でした。
人生の価値観はそれぞれであっても、仕事では仕事に対する価値観を同じくした仲間と仕事を行うことが、個人のそして組織の質を高め、生産性をあげるポイントですが、上記で説明した管理者や監督者のもとで組織に共感して仕事をする従業員が多ければ多いほど、組織の決めたことの成果は挙がる、とまとめました。
リーダーシップについての理論は数多くありますが、私達の考えるリーダーはどうあるべきなのかについては、
- 使命感がある
- 職責及び実施事項が認識できる
- 目的が受容できる
- 目標が受容できる
- 計画性がある
- 行動力がある
- コミュニケーション力がある
- 状況把握能力がある
- 包容力がある
- 責任感がある
と整理しました。
さらに、組織が目的を達成し成果を挙げるためには、リーダーがリーダーシップ(組織を最大に機能化するリーダーの行動)を発揮することが必要と話しが進みました。
リーダーがリーダーらしく、リーダーとして振る舞い、活動できれば、組織は成果をあげることができます。リーダーシップは、置かれている環境により変化し、安定的な組織、危機的な組織、攻撃的な組織では、リーダーの行動や指示の出し方は大きく相違します。
組織が何をもとめ、何をしなければならないのかに対し、柔軟に対応し、組織が求めるところに到達できるよう、リーダーシップを発揮しなければならなりません。しかし、リーダーが資質をもっていたとしても、その資質を行使して、リーダーがフォロワー(部下)に支持され、受容されなければ、リーダーはリーダーシップを発揮できません。
リーダーシップが発揮できるかどうかは、フォロワーの精神性を考慮したうえで、彼ら一人ひとりの状況を把握し、彼らを大切に思えるかどうか、組織目標と彼らの思考のギャップを埋め、バラつきをもちながらも徐々にフォロワーの意識や行動を組織のためのものに置き換えられるかどうかに依存する、と意見が一致しました。
日々リーダーは、
- 部下が毎日の仕事を正しく行えないときには、正しく行うためのあらゆる活動、もっとうまく、はやく、やすくするための日々の工夫、改善活動を促し、
- 突然何か問題が発生したときには、日常をこなしつつ率先して緊急事態にも対応し、その原因を解決、発生を抑える行動。さらに、
- 部下の相談相手となり、やる気のでない理由があれば一つひとつをしっかりと受け止め、確実に一つ一つ解決していくこと、
- 部署間に発生している問題を発見すれば原因がどこにあるのかを探索し、二度とそれが起こらないようにする
などを日々の管理業務とする、とリーダーシップはどう発揮されるのかについても整理できました。
このようにリーダーは日々、問題解決行動により組織をリードし、目標を達成し続けていくことが期待されています。
ビジョナリーカンパニーのリーダー像
ジム・コリンズの「ビジョナリーカンパニー2」には、ビジョナリーカンパニーを創ったリーダーには5つの水準があるとして、各階層におけるリーダーの在り方を示しています。
(第一水準)有能な個人
(第二水準)組織に寄与する個人
(第三水準)有能な管理者
(第四水準)有能な経営者
(第五水準)第五水準の経営者
がそれらです。
第一水準は、有能な個人で才能、知識、スキル、勤勉さによって生産的な仕事をする。
第二水準は、組織に寄与する個人として組織目標の達成のために自分の能力を発揮し、組織の中で他の人たちとうまく協力する。
第三水準は有能な管理者であり、人と資源を組織化し、決められた目標を効率的に効果的に追及する。
第四水準は有能な経営者で、明確で説得力のあるビジョンへの支持と、ビジョンの実現に向けた努力を生み出し、これまでより高い水準の業績を達成するよう組織に刺激を与える。そして、
第五水準は、ビジョナリーカンパニーをつくった人で、個人としての謙虚と職業人としての意思の強さという矛盾した性格の組み合わせによって、偉大さを持続できる企業を作り上げる
と主張します。
ジム・コリンズは何よりも、ビジョナリーカンパニーのリーダーが持つ特徴は、業績すなわち利益だけを追求するのではなく、理念と利益の両方を追求することにあると説明しています。
当然のこととして私も、理念のない企業が利益を出し続けるのは難しいと思います。
成功した企業の監督者や管理者のあり方は、私達が整理した考えを一部含んでいることが分ります。多くの成果を挙げてきた企業でそれぞれの水準において人が頑張り、活躍していることを思い、少し嬉しくなりました。
よりよい人生を生きるために、気概をもった多くの一般社員、そしてリーダーが生まれることを心より願っています。
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