16-23.考課者訓練の注意事項

適切な考課のための考課者訓練

人事考課は仕事に対する姿勢や態度を評価する情意考課、発揮能力を評価する能力考課、文字通り目標達成状況を評価する業績考課に区分されます。

情意考課を適切に行うために、考課者による運用能力の均一化を図るには、考課者訓練が必要です。そのためには何を学習し、何をつくりあげていく必要があるのかについての検討をする必要があります。考課者能力開発訓練の実施の目的は以下のものです。

・考課者の理解

考課者に、自社の人事考課の仕組みや考え方、人事処遇システムの中での位置付けなどを、十分に理解してもらう

・ノウハウの習得

考課者が、自社版事例演習(ケーススタディ)を通して、考課ルールを相互に確認しながら体験し、実地に評価のノウハウを身につけてもらう。

・理解力を深める

考課者が、評価項目・評価要素別着眼点について、自部門及び部下一人一人の職務との関連の中で十二分に理解を深めてもらい、陥りやすいポイントを避けて、部下の不信を招かないようにすること。

・マネジメント能力の強化

考課者自身に、マネジメント能力を磨いてもらう場とする・

また次の着眼点が必要です。

・形式に堕することのないように処理

人事評価マニュアルを作成し、それを考課者に手渡し、考課者個人に委ねて理解してもらおうと思っても、実際の評価時には何ら事実を掴んでいないで、理屈で理解しようとするため、現実との乖離が生じ、具体的な点に欠け、役に立たないことが多い。

・管理者能力開発の道具である

組織上経営補佐職場的立場にある管理者の視野の拡大、幅広い識見の涵養を目指すことに主眼を置くならば、それはまさしく管理者の能力開発そのものと言える。このように明確に規定し、実施に移すことができるならば、人事評価の信頼性は、非常に高まることになると考える

考課者訓練プログラムは次のものです。

・オリエンテーション

・人事評価制度で病院が求める人事評価制度の位置付けと狙いの説明

・制度の内容説明

・考課者研修の実施と考課者の目的について

・ケーススタディによる個人別評価の実施

・評価要素のチェック

・グループ討議・発表・質疑応答

自社が何を標準とするかについて、考課者全員が同一の「目」をもっていなければならない人事評価を、メンバー指導に役立たせることが必要。

・人事評価の意義と重要性を認識させる

・人事評価の体系を理解させる

・人材育成のツールである

・いかに考課者全体が同一基準の能力を養うことができるかが最大重要課題

・制度を見直し、チェックしていく柔軟性が必要

評価基準の設定が必要

結局は、どのような考え方に立って、評価するのか、何について評価するのか、それはどのように行うのか、結果何を求めるのか、といった点について検討する必要があります。

なお、考課者訓練は適切な評価を行うために行われますが、評価基準が正しく設定されていなければ当然のこととして何を評価するのかが決定しないため、印象による概括的な話で終始することになりますので、留意が必要です。

なお、情意考課は、規律、協調、積極、責任の4項目により行われるし、能力考課は職務基準により行われますが、それぞれについては別途説明することにします。

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