14-01. 目標管理と、BSCの違いって何?

目標管理制度とBSC

目標管理制度(MBO=Management by Objectives 以下M)は、戦略に基づき毎年提示される経営方針を目標化し、各部署そして各個人に具体的な目標を設定し、目標を達成できるよう、組織をあげて対応する制度をいいます。

また、バランスト・スコアカード(BSC=Balanced Scorecard 以下B)は、キャプランとノートンが、財務的指標だけではなく、非財務指標(財務の視点・顧客の視点・業務プロセスの視点・学習と成長の視点)で設定し、それらを組織に展開して、組織が決めた戦略を達成するよう行動させる戦略的経営システムをいいます。

両方を数多く実践してみると、BSCの方がフレームワークがしっかりしているので使いやすいというケースと4つの視点に限定されるので、含めづらい目標があったときに難儀するという経験があります。

なお、ここで、バランストとは、財務指標と非財務指標がバランスしているという意味会いがあります。確か記憶では、日本の目標管理を模したという説もあります。

簡単に 両者を比較すると次のことが判ります。

Ⅰ共通点

  1. 組織管理を行う手法であること
  2. ビジョンを具体化した戦略を経営方針(目標)化し、組織に落とし込むこと
  3. 組織全体を巻き込んで行うこと

Ⅱ相違点

  1. Mは個人迄目標を組織に落とし込み、個人別に管理することを目指すが、Bにはからずしも個人がターゲットになっていない
  2. Mは、組織目標を柔軟に設定できるが、Bは財務と4つの視点に分類して設定するため、実際に行うと少し不自由なところがある
  3. (環境が厳しい時代の)Mは、どちらかというとトップダウンに近い(但し方針決定前には現場状況を把握するため現場の意見が反映される)が、Bは、指標設定プロセスにおいて具体的行動を職員に任せる感覚がある
  4. Mは定性化されたものも含まれているし、定量化された目標指標に論理性が欠けていることが多い。

(補足)

一時期流行った、ボトムアップのMは目標に統一性がなく、ばらばらで失敗したと理解しています。また、BはKPI(キーパフォーマンスインディケータ=成功の鍵となる指標)を設定することが必須だし、目標から成功要因、そのための行動、そして行動指標であるKPIというように、その決定プロセスが合理的である(KGI→KFS→PD→KPI)。

このKPIについては重要なので、どのように設定されるのかは別の記事で明らかにしますね。

  5.Mは業績評価として賞与の評価基準となることが多いが、Bはそうした発想が予め整備されていない

上記から理解できるように、多少の相違点はありますが、組織は成果をあげるために、病院と部署及び個人の進む方向を一体化する、部署や個人の年間の目標を設定することで、個人への動機喚起を行うことは同じです。

業績評価の結果を、教育の拠り所の一つとすることを視野にいれるとすれば、各医療機関は、上記、どちらかの手法でも、また、それらをミックスした管理手法を導入することが有益です。

一例を挙げます。

売上=数量×単価ですが、予算実績管理を行うときに、数量の発生する要因、単価の発生する要因を指標化しておくと、後になぜ予算通りにいかなかったのか、予算通りに行ったのかが分析できます。

外来診療であれば、新患やリピート率の患者数により数が決まり、来院経路別の分析により、さらに詳細に区分されます。単価は検査や撮影、診療科、与薬の有無により影響を受けます。これらを指標(KPI)として設定し、予算を作っておけば実績との比較が容易になります。目標管理も精度を上げられます。やはり、定量目標の設定が大事だということができます

(ただ、課題が解っても解決策が脆弱で、適切行動を伴わないため、分析は完全だけど成果挙がらない的な病院が多いですよね)。

BSCは重要なので、またどこかで説明します。

先行き不透明な時代、何かを決め、それを達成するために、両者の特徴をうまくつかいながら、良いところをピックアップして、マネジメントに活用することが望まれます。

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