01-08.持続性のある取引の7つの要件
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相互関係の成立
環境問題を語るとき「持続可能性」(sustainability)が大きなテーマになっています。持続可能性は生物的なシステムがその多様性と生産性を期限なく継続できる能力をいい、そのために新しい技術を用いた、カーボンニュートラルなどの人間的な活動を将来にわたって持続できることが期待されています。
もともとはシステムやプロセスが持続できることを意味しており、持続可能な発展を目指す経済の分野でも必要な概念ですよね。ということで今回は取引の持続可能性です。
社会は個人、組織の相違なく、取引により成立しています。ここで取引とは、「話し合って働きかけを成立させること、合意の上一定条件の元で商製品、サービスの提供を行うこと」をいいます。
家庭も組織とすれば、家庭間においても取引が行われています。
「朝ごはん何食べる?」とか、「今日どこに行く?」「子供の進学のことなんだけど」「お小遣い上げてもらえるかな」というのは二者間において取引を行うための投げかけの会話です。
ある領域において「提案者や被提案者、売り手と買い手、サービス提供者も受ける側」(参加者)も方向性が同一でなければ取引は成立しないし持続しません。先ほどの朝ごはん何にするも被提案者がごはんいらない、となれば取引は成立しませんよね。
- タイミング
- 両者の思い
- 相互の信頼関係
の三点が必要になります。
他にもさまざまな要因がありますが、これらにより取引は成立します。商製品、サービスを対象とする取引もすべて同じです。
両者には、タイミングを合わせたうえで、
- 「こうしてあげたい」「こうしてもらいたい」、
- 「もっとうまくできるようになりたい」「良いもの(サービスも含む)が欲しい」、
という思いがあるし、
相互には、
- 「提供するものには自信がある・誰にも負けない」「確かに良いものだ」、
- 「経済合理性がある」「確かに」、
- 「いかがですか?」「欲しいです」、
といった信頼関係がなければなりません。
その他、調達の利便性、身近、親しい、希少性、義理など多様な要因がありますが、「持続可能」というキーワードが入ると、やはり上記の三つが基本となり、取引が行われるのだと考えています。
まず、提案者、売り手、サービス提供者(出し手)が、自分のやりたいことをやるために、思いをもち、信念に変え、技術を身に着け(設備を用意し)、商製品・サービスを提供する。そこでは常に被提案者、買い手、サービスを受ける側(受け手)を意識し、誠意をもち、相手の立場に立ち行動することが必要です。
これらのなかは、受け手のシーズやニーズから始まるものも当然にあり、出し手は常に他の状況を理解し、取引から得た情報により受け手の期待に応えていく、という意識をもたなければならないのは言うまでもありません。
整理すると、
- 方向性の一致
- 思い(場合により信念)
- 誠意ある行動
- ニーズに応えられる質
- 価格合理性
- 相互利益への意識
- 取引からの創造
が持続的取引のための要件であるとわかります。
なお、「思い」においては受け手に対し、
- 羞恥心を与えない
- 恐怖心を与えない
- 痛みを与えない
- 納得してもらう
- 不便を与えない
- 不快な思いを与えない
- 不利益を与えない
という7つの切り口が必要です。この7つは我々がコンサルチングにおいて設定している、(組織内取引を含む)商製品サービスの質を担保する留意事項ではありますが、ここで議論している取引の最低ラインでもあります。
逆にいえば、出し手は、取引を行うことにより受け手に対し、
- 自尊心をもってもらう
- 安心感をもってもらう
- 心地よさを感じてもらう
- 誇りをもってもらう
- 便利を提供する
- 良い気分になってもらう
- 利益を提供する
ことができるよう、行動しなければ取引を持続できない、という結論です。
もちろん、結果として受け手にはもちろん、組織であれば出し手の一人ひとりにも
- 「なんて幸せなんだろう」
- 「この取引ができてよかった」
- 「やればできるね」
- 「この仕事をしていて本当に満足」
などと感動してもらう、感謝してもらうことが理想です。
これら一つひとつのアイテムの奥は深く、ここで詳細な説明は割愛しますが、ものごとの重要な行動規範です。当たり前のことのように思えますができていないことが多くあります。
思いを信念に変え行動する
ところで、いま衆院選真っ盛りです。政府は成長と分配をスローガンとして、さまざまな(とりわけデジタルやグリーン分野に焦点を当て)改革による成長を促すと表明しています。
日本が失われた30年の呪縛から脱却するために、日々の生活や社会活動においてすべての個人や組織がここでいう7つの思いをもち信念に変え、人としての喜びを取り戻し取引の持続性を担保する行動をとれば、国民の生活はあらゆる面で豊かになり、日本は大きく発展すると私は考えます。
まずは原点に戻り、生物としての人間が心を失わず生き残り続けられるよう、我々一人ひとりの意識や行動改革による取引の見直しを行うことが、疲弊した日本再生の切り口の一つだと理解しているからです。
これらの活動が点から線にそして面展開できる日に思いを馳せ、変革可能性の高い自分の行動を見直すところから始めてみたいと思っています。
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