[プチ事例研究]売上が落ちた・異業種参入【会員限定】

環境適合できず

関東県の郊外に、いくつか店舗をもつパチンコ会社。コロナ以前から、国民の可処分所得が30年前を下回り、使えるお金が少なくなったことや時代のながれで来店客が少なくなっていました。

そこにコロナが追い打ちをかけ、売上が大きく減少してきました。

集客のために玉当りの単価を下げてきたものの、思ったように集客できず、来店客は増加していません。

大型店を多数展開するチェーン店であればともかく、当社のような複数店での経営を行う会社は、業界全体として事業が衰退してきたなか、自助努力では環境適合できない状況にありました。

業種自体に限界が見えてきたなか、 自社の改革だけではどうしても抜け出せないと分かった社長は、異業種への参入を行おうと考えました。とはいっても業種的にみて、経営資源も不足し、できることは限られています。

顧客ニーズと経営資源分析

まったく異分野参入するのは難しいので、現在の業種に関連する領域で新事業はないかを必死に検討しました。考えあぐねたうえで社長が気付いたのは食事です。

パチンコをする客は、朝から夕方まで一日を使って使い遊ぶ人が多いいます。当然昼になればお腹が減ります。周りに食事をするところがないロードサイド型の自店に来店する客は、台を置いたまま、遠く離れた場所に食事に行くことが一般化していました。

ならば食事を提供しよう、と決めたのでした。簡単に食事ができ、すばやく台に帰るためには店舗の前に食事をつくること。しかし、そうはいっても店舗をつくるためには大きな投資が必要です。

なかなかその資金を捻出する状況ではありません。そこで社長が考えたのがキッチンカーです。キッチンカーであればそれほどコストはかからないし、どこでもいけるからです。

実のところ社長は、利用客の多い大型店に目を付けました。パチンコ台から離れる時間が短ければ短いほど店側は売上があがることから、大型店のオーナーはキッチンカーが店舗駐車場で営業することを快諾してくれました。

軽食の提供でしたが以外と評判になり、キッチンカーの台数は増加していきました。いまでは5台の車両が営業し大きな収益を上げています。パチンコだけではなく、商業施設の駐車場も客になり、これからもキッチンカーの台数を増やしてく予定です。

もう一つ参入した事業があります。キッチンカーを入れる前、業績悪化に伴い、従業員のリストラをしなければならなくなり、就職先を捜すことになりました。ECの時流にのり流通倉庫の募集が多いことに気付きました。

そこで目を付けたのが倉庫専門の人材派遣会社です。コロナの影響もあり人は集まりましたが、倉庫からの依頼には応えきれず、派遣を断る状況のなかで、この事業も大きく売上を伸ばし、利益に貢献しています。

結局のところ、客が困っていること、地域にどのようなニーズがあるか、自社の経営資源はどのようなものかを分析し、新規事業を検討した結果、短期間で大きな成果を挙げられた事例だと考えています。

[マネジメント・アイテム]

マーケティンング、SWOT分析、事業計画、リーダーシップ

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