量販やアパレル、ドラッグストア等、小売業のコンサルティングを集中して行っていた時期がある。MD(merchandisingマーチャンダイジング=消費者の欲求・要求に適う商品を、欲しい数量、欲しい価格、欲しいタイミング等で提供するための活動)を研究したのはこの頃である。
アパレルの指導に入るきっかけになったのは、レディスアパレル(小売り)チェーン数十店舗への取組みだった。
毎週のように本部に通い、店内外でどのようにMDを行うのか、インストアマーチャンダイジング(店舗内MD)では、店舗の白図に什器を描き、磁石(集客商品)の配置も含めどこに何を陳列するのか、季節によりどのようにディスプレイを変えるのか、平台をどのように使うのか、レジ周り商品を揃えどうすれば客単を上げられるのかとかの実験をしていた。
また、店内のどこを回りながら、どのようにして背中で来店客の動向や気持ちを察知し接客のタイミングを掴むのか、ストアコンパリゾン(競合店調査。とりわけ同業種の店舗を観察して商品の動向や特徴、売り方等を調べること)をどのように行い情報をバイヤーやデザイナーに伝えるか。
さらに、北海道から九州まで広がる店舗があり、季節の移り変わりに店間移動(横持)をどのような情報により行うのか、(当初POSがうまく使えない時代だったが)「日取り表」をつけ売上をどう管理するのか、潜在クレームをどのように発見し無くすのか、死筋売れ筋管理の徹底や品出しのタイミングを図りチャンスロスをどうなくしていくのか、ディストリビューターとミーティングして店舗別の適正量の検討を行ったり、返品を使った販売員の不正の防止等さまざまな対応を行った。
すべては、財務やキャッシュフローの視点から、赤字の店も黒字もあってもよく最後に全社で利益が出ればよい、という考えではなくすべての店舗で黒字を目指すチェーンストアにしようという活動のためである。