レディスチェーンの運営に学ぶ

個店別の黒字を目指して

量販やアパレル、ドラッグストア等、小売業のコンサルティングを集中して行っていた時期がある。MD(merchandisingマーチャンダイジング=消費者の欲求・要求に適う商品を、欲しい数量、欲しい価格、欲しいタイミング等で提供するための活動)を研究したのはこの頃である。

アパレルの指導に入るきっかけになったのは、レディスアパレル(小売り)チェーン数十店舗への取組みだった。 

毎週のように本部に通い、店内外でどのようにMDを行うのか、インストアマーチャンダイジング(店舗内MD)では、店舗の白図に什器を描き、磁石(集客商品)の配置も含めどこに何を陳列するのか、季節によりどのようにディスプレイを変えるのか、平台をどのように使うのか、レジ周り商品を揃えどうすれば客単を上げられるのかとかの実験をしていた。

また、店内のどこを回りながら、どのようにして背中で来店客の動向や気持ちを察知し接客のタイミングを掴むのか、ストアコンパリゾン(競合店調査。とりわけ同業種の店舗を観察して商品の動向や特徴、売り方等を調べること)をどのように行い情報をバイヤーやデザイナーに伝えるか。

さらに、北海道から九州まで広がる店舗があり、季節の移り変わりに店間移動(横持)をどのような情報により行うのか、(当初POSがうまく使えない時代だったが)「日取り表」をつけ売上をどう管理するのか、潜在クレームをどのように発見し無くすのか、死筋売れ筋管理の徹底や品出しのタイミングを図りチャンスロスをどうなくしていくのか、ディストリビューターとミーティングして店舗別の適正量の検討を行ったり、返品を使った販売員の不正の防止等さまざまな対応を行った。

すべては、財務やキャッシュフローの視点から、赤字の店も黒字もあってもよく最後に全社で利益が出ればよい、という考えではなくすべての店舗で黒字を目指すチェーンストアにしようという活動のためである。

アパレルは難しく奥が深い

延長線上で上海や香港の企画会社に訪問したり、香港のシャンスイポ(深水埗)という御徒町のような中国中から衣服が集まる地域にも行き、社長と一緒に商品のながれや動きをつぶさに見る機会も得た。ちょうど香港に友人がいて、香港チムサツイチムサーチョイ(尖沙咀)に行き始めたタイミングだったと思う。なお、ライチ―コク(茘枝角)の青山通りに並ぶ衣服の大型問屋街の調査を行った(日本のアニメーションキャラクターのTシャツが100円単位の価格で販売されていた!)。

またそのクライアントはSPA(Specialty store retailer of Private label Apparel エスピーエー=製造小売業)を目指していたので日本の製造工場に行き、改善提案制度の導入を行ったりした記憶がある。仕入商品ではなく自社企画・製造による商品展開を行うことのリスクはあるがメリットも大きい。

アパレルは海外工場の管理も含めサプライチェーンが長い。事業運営において行うことが多いとい意味で難しく奥が深い業種である。しかし商品を販売する原理原則の事業でもあり、行なうべきことをしっかり行えば成果もでるし面白い業種だと考えている。

これからも積極的に関与したい業界であり研鑽を積み業界に貢献していきたい。

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