[コラム]香港への憧憬

香港の素晴らしさ

コロナ以前、2019年後半まで、本当によく香港に通いました。

成田を朝出て、午後に香港に着き、九龍チムサツイにある銀行とのミーティングを終えて、翌日エージェントとミーティングし、その日の深夜便で成田に帰ることや、深夜便で朝に香港に着いてミーティングを行い、深夜便に乗り翌朝羽田に着くというホテル宿泊なしの強行軍ツアーもありました。

カオルーンホテルのTVで香港返還式典を見ていたころからの香港でしたが、当時、既にシンガポールの金融機能と香港のそれはとても注目されていました。爾後、アジア経済の動きが活発になったなか、さらに香港は活気づいていました。

多くの日本人がアジアで仕事をしていますが、間違いなく、香港にも多くの人が集まっているようでした。ビザをとる人達も多く、私たちのエージェントもコーポレートサポートだけではなく、そうした観点からのサポートをも行っていました。

日本の病院や介護施設に対するニーズも高く、日本からの医療や介護従事者の受入れへの対応も盛んな時期でした。

そんな香港でしたが、香港に行くといつも人々が真剣に生きている姿に触れて胸を撃たれます。社会保障が整備させておらず自己責任という厳しい現実はありますが、インカムに対する税率が16%マックスであり多くのビジネスが形成される素地がここにはあります。

銀行のATMの手数料は0円であり、勿論、キャピタルゲイン課税や消費税もなく事業を行い易い環境があります。

歳入が少ない結果として日本と比較すると驚くほどの小さい政府で、国が運営されています。

十年以上前の出来事ですが、余った税金を国民全員に返すという決定もされたこともありました。新しい道路はできるは、街はきれいになるは、交通機関やインフラも整備されるということですばらしい成長を遂げていました。

香港の政治や経済、そして人々の真摯な生き方をみるにつけ、学ぶべきことが沢山あることをいつも感じていたことを思い出します。

香港の輝かしい未来を思う

当時は中国との関係も強化していて、中国の富裕層を日本に紹介し、健診やツアーを行う、いわゆるメディカルツーリズムの事業をこれから行おうとしている会社でのミーティングも盛んに行われた時代でした。

起こったばかりの東日本大震災による原発問題が解決したら、本格的に日本とのビジネスを本格稼働したいということでした。

今、振り返るとこのときの中国と香港の関係は良好で、中国の投資家がこぞって香港の物件を購入したり買い物ツアーでお金を落とし、また香港の遊園地に中国人ツアーが大挙して訪れて活気があった黄金時代でした。

それがいま、中国政府の対応により多くの香港人が自由をなくし、強い権力のもと完全な支配下に置かれようとしています。既に多くの香港人が将来への希望をなくし活力が失われようとしています。

実態経済への大きな影響がこれから出てくるかは明らかで、少なくとも香港や中国で新たに事業を始めようという中小企業の動きは止まるでしょう。私も香港にある私の会社は休眠にしていますが、今後事業を再開することはないと思います。残念なことです。

ただ、元の状態に戻ることはないとしても、香港人がどのようにこの難局を乗り越え彼らの未来をつくるのか。あまりにも身近な国であるためとても心配しています。

香港国民の生活が、できるだけ良い方向に進むことを心より祈っています。[石井友二]

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