人は何のために生まれ、何のために死んでいくのか。そうした終わりのない葛藤からも離れることができます。
しかし、我に帰れば私たち人間は、強い意志のうえに生きていかなければなりません。瞬間に過ぎ去る今と未来のために自分達がつくりだしてきた現在と、そして、未来の自分に勝ち続けていかなければなりません。
宇宙の営みからすればほんの小さな出来事や小さな抵抗ではあるけれども、生きた意味をもつために、来世につながるひとときの終焉を迎えるために、私たちは自然を感じながら、しかし歩みを止めず、弛緩せず、人生の季節をのりこえ続けていかなければならないのです。
安らぎと覚悟、愛(め)でる季節と、乗り越えなければならない季節。
私たちは、その間をいつも行ったり来たりしながら、これからもずっと生きていくのだと思います。[石井友二]