[コラム]勢いへの憧憬
勢いに感動する
勢いがあるものに、感動するということはよくあることです。懸命に何かをつくりだそうとしていたり、頑張って成果をあげようとしている姿は魅力的であるし、人の心を揺さぶります。
もともと人間は、何かをする使命をもって生まれてきたとすれば、努力し続けることが本来的な機能として備わっているのかもしれません。努力することが本来の姿であるから、努力していない者は、努力している者に対して魅力を感じると解釈することができます。
いずれにしても私の周りの優れた結果を出している人は、ほとんどといっていいほど努力をしています。たぶん天才のように見える人であったとしても、人知れぬところで努力と思わぬ努力をしているのだと思います。
努力は無理やりなにかをするということではなく、興味があるから、好きだから我を忘れて懸命に何かをする。まさに好んで何かに一所懸命のめりこんでいくというときに、最大の成果をあげるものだといわれます。本来、自分を追い込む努力は不自然だと思います。
この場所に立つと、皆が嬉々として活動しているさまを感じることができます。対岸には、無理やりこの場所に来て何かをさせられているのではなく、歓喜のなかで自らを何かに打ち込ませている人々がたくさんいるのでしょう。彼らの情熱や勇気、そして執念が塊となって、人々の心を感動させていると推測できます。
単に、色とりどりのネオンがきれい、といった類のものではなく、それらを生み出す背景から放射されるエネルギーが心を打ち、心を動かすのだと考えるのです。
香港政府の思いや戦略、呼応する企業の実力や緻密な活動、そこに勤務する人々や、集まる多くの生きることに強い意欲をもつ人々が作り出す、白熱の魂がそこに見えます。
燃え尽きて悔いなし
いずれにしても、「燃え尽きて悔いなし」といった勢いがなければ、本当の成果を得ることはできません。そうした努力をしている人は、瞬時として限界への挑戦を止めることはない、そんな印象を強く受けるのです。
いやなことがあったり、くじけそうなとき、この場所に立つと地に立つ足の裏からエネルギーが急速チャージされることが判ります。香港島の対岸にある九龍の、この場所に立てることの幸せを、今回も感じることができました。
今から9年前の記事です。抑圧され勢いのなくなったように見える香港は、どのようになったのか。早くこの目で確かめてみたいと思います。
世界で最も優れた政治を行う政府として評価された香港の秘めた情熱をもって窮地を抜け出して欲しいと願っています。[石井友二]
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