[コラム]リーダーの役割

日本人の特性

今は帰国してホテルのマネージャーになっているアメリカ人のアイザックは、私の英語の先生でした。彼とよく日本人の特性について話をしたものです。日本人の生き方について、彼の経験からの議論でした。

もちろん、アメリカ人と日本人を比較した議論というよりも、私が考える日本人というイメージと彼の考える日本人へのイメージについて話をするというスタイルです。

欧米人はハンターで、日本人はファーマーであるという視点や、大陸か島国か、さらにはキリスト教か儒教かというテーマです。文化や宗教の相違がそれぞれの国の生き方に影響していることが分かりました。

また彼は高校の先生でもあったため、日本の教育について、欧米の英才教育的なところとの比較になったりしました。ただ、彼は教師らしく教育は学校だけではなく、家庭で行うべきものというしごく、非常にノーマルなテーマで話をしかけてくることがありました。

実際に、親から子、子からその子という連鎖のなかで、日本人が変わってきたというプロセスについて彼は彼の意見をいいます。教育システムの変遷、例えば「ゆとり教育」といったことについての是非についても、意見を言い合いました。

結局のところ、日本は優れた成果をあげてきたが、明らかに安定を求めていて、変化したくないという傾向があるという意見で一致します。

宗教やリーダー、そして国の目標といった意味では日本だけではなく、世界中で同じながれになっているのかもしれません。ただ日本にリスペクトだきるリーダーはいるか、という質問をされたときには、言葉を失いました。

経済的に疲弊しているから皆働かなければならない、という日本ではなく、それぞれが明確な目標をもち、それを達成するために働く、という日本人が増えなければならないと言う結論でした。

しかし、そうしたことをもなしえないほど、環境が壊れているという議論は反対しました。

計画的にビジョンをもち、ながいあいだ懸命に何かをつくりながら成果をあげている人が私の周りにはたくさんいたからです。

思いを遂げる環境づくり

Hさんは、ヘルパーからはじまり、介護施設の施設長かになり、不動産事業に入り金融を学び銀行員になり、将来は自らが思う、理想的な高齢者のための施設を持ちたいと頑張っています。

また、K先生も、学校の先生から柔道整復師そして、医療法人の理事長、介護事業への進出をしながら大きな組織をつくり、さらに自らの思いを浸透させるため大きく事業展開しようとしていました(後に大成功しています)。

多かれ少なかれ、自らの思いを達成するために血のにじむような努力を重ね、何かをなしとげている人はたくさんいます。会社にいても、キャリアを積み主体的に成果をあげて結果として社会貢献している人も何百万人もいるでしょう。

業績が悪化している病院にコンサルティングに入り、面談をしても一人ひとりは、しっかりした考えをもち、成果を挙げようと努力している人が多いことに驚きます。しかし、彼らを鼓舞し力を引き出し、組織全体のコントロールをしながら戦略的に成果をあげていくリーダーが少ない印象はあります。

個々の力を発揮させない組織、文化、風土、それを諌めないリーダーが人をつぶしていることが解ります。

懸命に頑張っている政治家もいるでしょう。国士も数多くいるかもしれません。しかし、組織や日本に傑出したリーダーがいないためにスタッフや国民の懸命な努力を一定の成果に結実させ、彼らに還元できない事も多いと議論しました。

私も自分の組織一人ひとりのスタッフが、使命感による信念をもち、自らの思いを遂げられる環境をつくれているのか振り返ります。

自分だけが頑張っているのではない。彼らも彼らのなかで葛藤しながら成果をもとめて、頑張っているのだと思います。彼等の能力を引き出し成果を挙げられているのか。

まずは小さな組織の長として、ここで何かを変えていなければ、国を憂う資格はないのだとアイザックと話しながらよく考えた事を思い出します。[石井友二]

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