競艇に学ぶ不動産業【会員限定】

ギャンブルとビジネスの共通点

建設会社と住宅販売会社、不動産仲介会社、ホテル業を行う会社を経営する社長から話を聞きました。20代半ばをすぎて仕事もせず、2年半毎日二か所の競艇場に通い、どうすれば勝てるのかを研究し勝負したと話されました。

オッズ(確率論で確率を示す数値をいい、ギャンブルで見込みを示す方法)の分析手法を自分なりに見極め勝ち続けたそうです。オッズはさまざまな要素のマーケティングの結果です。多くの人の期待値を示しています。淡水・海水、潮の満ち引き、風向きやモーター、ペラの角度などなど、コースや抽選できまる艇や艇の勝率、選手成績、天候などが様々な予想要素になります。

もちろん予想は狂うこともありますが、マーケットを見るときの指標としては唯一無比だそうです。勝負を人任せにして予想屋から舟券の予想を買う人も多い中、社長は自分の意見によりどの舟券を買うのかを決めて成果を挙げたと話しを続けました。

ただ、このやり方では安定はするものの大勝はしない。なので時には勝負をするときもあったと振り返ります。また、休みも必要で、毎日勝負しているのではリズムがつくれない。競艇は水曜日が休みだったそうですが、その日は五木寛之や山崎豊子、司馬遼太郎の本を熱心に読み生きる肥やしにしたとのこと。その頃に近所のおじさんに教えてもらい囲碁も勉強し、勝負に向かう気持ちや勝負勘を養えたそうです。休むときにはしっかり心身を休める、勝負事にはメンタル強化や対峙する姿勢も大事という教えです。これらのエピソードはビジネスに通じます。

その後、20代後半に九州から兄の住んでいた埼玉に来て、不動産会社に勤め、いきなり好成績をあげ、ほどなくして独立し、一代で50億円を超える業績を誇る企業グループを創り上げたのです。

仕事は勝負だ

彼は成功者となった今でも研究熱心で、現場に足蹴く通い自分の眼で見て問題解決を行っています。仕事はすべてそうですが、不動産業は勝つか負けるかが色濃くでるビジネスです。土地を仕入れ、消費者の満足する企画や設計で住宅をつくり、マーケットの情勢や経験から培った感覚により適切な値付けを行い販売する、といたプロセス一つひとつが勝負なのだと考えているのです。

不動産業は地域密着による事業であるために日頃の業者との付き合いも欠かせませんが、穏やかで魅力のある社長の元には優良案件が多く舞い込んできます。緻密な発想や気遣いによる仕事ぶりが功を奏していると思います。不整形地や崖下、沼地、袋地などの難しい物件のさばき方も、驚くほど緻密で美しいとすら感じるほどです。

その他、ホテルや旅館を買収するときにもその駆け引きや決断の素晴らしさには頭の下がる思いがあります。もちろんホテルや旅館の運営においても、部屋の改修、食材の仕入れ、板長の育成などアッと驚く手法により改革を行います。

ギャンブルを通じてどうすれば勝つかと考えるプロセスでありロジックを学んだ、という社長の仕事振りを拝見していると、確かに仕事の端々にその経験が間違いなく役に立っていると思わざるを得ません。

一、二回馬券を買ったことのあるだけの経験しかない私は、もっと早くこの話を聞けばよかったと嘆くばかりです。これからギャンブルに時間を割く事はありませんが、ビジネスは勝負事と認識して、一つひとつどうすれば勝てるのか熟考し行動に繋げて、成果を挙げていきたいと考えています。

 

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