16-13. 頑張る社員に報いること

組織における頑張る社員への対応とは

マズローの5段階欲求説によれば、人間は生存の欲求、生理的欲求、社会的欲求、尊厳の欲求、そして自己実現の欲求の5つの欲求をもっています。

まず、

  1. 食べたい、寝たいという基本的欲求のあとに、
  2. 安全によい健康状態やよい暮らしの水準を満たしたいという欲求があります。そして、
  3. 組織に帰属して役割を果たしたいという欲求があります。さらに、
  4. 尊厳の欲求です。これは人から価値ある者として認められ、評価されたいという欲求をいいます。最後に
  5. 自分が何かを成し遂げたい、という自己実現の欲求があります。

 

4の尊厳の欲求が今回のテーマです。

ここで、評価という表現には、処遇も含まれています。

評価され褒められることを嬉しいと感じたとしても、褒められるけれども、処遇がまったく変わらなければ、それは口だけであり、評価せれていないのと同じ、という印象をもたれることは必至です。

生活のための報酬という側面から、実体の伴わない評価は褒められたことには含まれないという結論です。

 

処遇には、賞与と昇給昇格昇進があります。賞与は業績(目標達成)に応えるものであり、昇給昇格昇進は情意(仕事に対する姿勢や態度)や能力(仕事で発揮した能力)、そして業績に応えるものです。

ここで、昇給は同じ資格(職能資格制度では資格は等級であらわされます)にて給与をあげること、また昇格は資格そのものが上がること、そして昇進は職位(役職)があがることを意味しています。

昇格する、あるいは昇進すれば、仕事の責任も増し、より広い範囲での仕事に従事することもできるようになります。

 

組織における頑張る社員への対応は次の段階に分類されます。

  1. 頑張るといじめにあう
  2. 頑張っても、頑張らなくても評価が同じ
  3. 頑張れば認められるが、処遇は変わらない
  4. 頑張れば認められるし処遇が変わる

 

少なくとも、1では組織は社員が定着しないし、また2であっても志をもった社員は退職し、適当な仕事をする社員だけが残ることになります。

そして、3では、組織がうまくまわるのは短期間であり、結局評価されなければ2と同様という思いをもつことは間違いがありません。

4の段階の組織をどのようにつくるのか、組織活性化を目指す組織はみなこの点について考えています。

 

頑張る社員に報いることで、やる気になってもらい、組織を活性化して成果をあげる。逆に成果があがっていても社員に報いることができない組織は頑張る社員から見放され、継続した成果を得られなくなる可能性があります。

トップはこのことをよく考えなければなりません。なおそうした組織は、自己実現すなわち個性をもって自分と組織の思いを遂げる欲求をもつ優秀な人材を育成できることはいうまでもありません。

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