[コラム]京都の夕暮れに思う

銀行員として京都で働く

私が京都で仕事をしたのは、監査法人を辞して銀行員になったときでした。本部の支店業務推進を行うコンサルティング部で、京都支店を担当したのはとてもラッキーでした。

今でこそ話せますが、銀行の出張帰りには、早めに仕事を切り上げ、部下と一緒に神社仏閣を一つ一つ見て回りました。ほんの30分程度であったと思いますが、私も部下も少しでも京都に触れたいという意識がありました。

当時の支店長は既に退職されていますが、本当によく面倒をみてもらいました。仕事については厳しく、そして同行営業も冷や汗もののときもありましたが、仕事が終われば市場の近くの飲み屋で、銀行の果たすべき役割や提供しなければならない機能、金融機関はどうあるべきか、コンサルティングにより何に貢献するのか等について熱く語り合ったものです。

京都では、財団設立や事業承継、経営改善や企業再生の仕事をしました。厳しい仕事ではありましたが、時には弛緩することもありました。

クライアントとは祇園で会食をしたことは大きな思い出です。始めてだった祇園で舞子さんの芸を見る機会に、京都の歴史の一端に触れた気がしてとても緊張し、また感動した記憶があります。

京都への思い

京都に住居がある方はとても幸せだと思います。日本そのものが京都の至るところにあり、少し足を延ばせば、数多くの歴史に触れることができます。自然は多く、そして文化レベルも高い。数多い人材も輩出し多くの優秀な企業も生まれています。

都会でありそうで完全な都会ではなく、しかし田舎ではまったくありません。日本には札幌しかり、仙台、名古屋、大阪、広島、福岡他、多くの街があり、それぞれによさがあることは知っています。そのすべての都市で仕事をしてきました。

しかし、そのなかで古都京都に特別に惹かれてしまうのは、京都の残された歴史のなかに日本人の心の原点を垣間見れる場所だからかもしれません。

独立してからも京都の仕事は随分増えた時期がありましたが、他のどこの地域でもそう思うように、その瞬間瞬間、常によい仕事ができて、少しでも京都の住民に喜んでもらうことができれば、私にとって京都はより近い街になると考えています。

京都の夕暮れに駅を背にして振り返り、ふとそう思ったのでした。[石井友二]

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